第22章 お兄ちゃん ON編 ☆
「かずっ!!!!」
「…おにぃちゃん……」
家でうたた寝をしていると
普段はあまり鳴らない家電が鳴った。
最初は居留守を使ってたんだけど
あまりにも何回も鳴るから
仕方なく出てみたら、
居留守を使っていたことを後悔した。
それは警察からの電話で…
弟の和也が事故に遭ったとの連絡だった。
ちょっと年の離れた可愛い可愛い弟…
何かあったら俺…っ!
親に連絡しなきゃとか、
そんなことなんも考えないで
気が付いたら家を飛び出していた。
鍵閉めたっけ?
その前にちゃんと受話器置いたっけ?
病院につくと、和が心細そうに
廊下のベンチに座っていた。
「和!怪我は!!?」
「ん…左腕が、折れてるみたい…。あとはかすり傷、」
「腕!?痛いか?!!大丈夫!??」
「うん…頭はね、あんまり打ってないから大丈夫だろうって…」
「良かった…良かった和…!!」
「お兄ちゃん…」
良かった…
まぁ、腕の骨折は大怪我だけど…
それだけで本当に良かった…!
「どうなったの?」
「歩道歩いてたらね…、スリップした車が突っ込んできて…」
「そっか…怖かっただろ、もう大丈夫だからな」
「うん…」
頭を撫でて、腕が痛くないように
優しく、でもぎゅっと抱きしめた。
和の身体は少し震えてて…
かすり傷や痣も痛そうだった…
―――――――――――
ちゃんと検査を受けて
警察とも話した。
相手の車の運転手は書類送検
されるらしい。医療費はもちろん
全て相手持ち。
「和、なんかあったらにぃちゃんに言うんだぞ?」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん…」
和の目はまだ少し赤くて
ふにゃっと痛々しく笑った笑顔に
相手の運転手への怒りを感じた。