第8章 何処にも【分隊長ハンジさん】
壁外調査から壁に向けて帰る途中、
右方から黒の信煙弾があがる。
なまえは煙弾を確認すると自身も煙弾を撃った。
あそこは、確かハンジ班がいる方角だ。
なまえは胸がザワつく。
なんだか、嫌な予感がした。
いや、まさか。
ハンジ班に限ってこんな所で死ぬはずがない。過信しすぎるのは良くないが、歴戦の猛者たちをあなどってはいけない。
彼らなら、きっと大丈夫だろう。
なまえは何事も起きないことを祈りながら馬を走らせた。
その後、巨人発見の信煙弾が撃ち上がることはなかった。
無事壁の中へ入ると馬を預けなまえはハンジを探す。いつもなら向こうからなまえを見つけて飛びついてくるのだが。
胸のザワつきがいっそう強くなる。
なまえは更に気が急くのを感じながらハンジの姿を探す。
まさか。
ハンジ班はどこだ。
いつもなら茶褐色のそばにいる淡黄色の頭を見つけるとなまえはその肩を掴む。
「モブリット。ハンジさんは」
「ハンジ、分隊長は・・・」
モブリットはバツが悪そうに目を伏せる。
その言葉を聞いてなまえの瞳は大きく見開かれた。