第15章 溺れる【分隊長ハンジさん・R18】
ハンジさんはよく熱くなって我を忘れることがある。
そのせいで、周りからは変わり者だと思われることが多い。
でも実際はそんなに変わり者ではなくて。
一般常識もきちんと持ち合わせているし、
実験外で人が嫌がることは決してしない。
優しくて温かくて、本当に申し分ない人だと思う。
ただ、感情を隠すことはすごく苦手な人かもしれない。
今夜は珍しく、内地で開催された夜会に参加することになった。
貴族が個人的に開いている催しらしいが、その貴族の羽振りはよく今後の活動資金のためにも調査兵団として良い顔をしておきたかったらしい。
そのため、普段こういった催しに参加することのないハンジやなまえにも白羽の矢が立った。
個人的な夜会のため、軍服ではなく各々正装をすることとなったがそれがまたハンジを不快にさせた。
「ちょっと露出高すぎるんじゃない?」
「そうかな、ドレスだとこれくらい普通だと思いますけど・・・」
オーガンジーが手足をすらりと長く見せてくれる細身のシルエットに、ふわりと広がったスカートが可愛らしい印象のドレスを身に纏ったなまえにハンジは口を尖らせた。
気に食わない、と声に出さなくても分かるくらいの不快感を表情に表したハンジはパンツドレスに身を包んでいる。
なまえが夜会に参加すると決まった時もエルヴィンに対して抗議するなどハンジは不快感を顕わにしていたが、この時も結構、機嫌が悪かった。
そしていざ、夜会が始まった今もハンジの視線が痛い。
必然的に別行動となった各々は貴族一人一人と挨拶を交わし、他愛無い会話を交わしていた。
ハンジも張り付けたような笑顔で貴族と会話していたが、エルヴィンとなまえには不機嫌なのが手に取るように分かった。
視界の隅にハンジを捉えながら内心ハラハラしていると、突然身体が強引に引き寄せられた。