第13章 教えてあげるよ【上司のハンジさん/現パロ・R18】
「また振られたんだ?」
少しお洒落な居酒屋の個室の中、
ハンジは目の前で机に突っ伏した部下に苦笑いを浮かべた。
「そーなんです!
今度こそは行けると思ったんですけど・・・・・・」
「まだ20後半でしょ?
焦らなくてもいいと思うけど」
ハンジの直属の部下であるなまえは
結婚を焦っているらしい。
婚活、のようなものをしては
くっついたり別れたりの繰り返し。
ハンジも幾度となく
なまえの恋愛相談を聞かされていた。
「でも周りは結婚してたりとかするですよ・・・・・・
結婚式だって何度呼ばれたことか・・・」
「いつも思うけど私に相談することじゃないよね」
ハンジは頬杖をつくと
ジョッキについた水滴をつついた。
ハンジも30半ば。
仕事に没頭している独り身としては
なまえに助言できることなどない。
なまえはその言葉に机に顎をつけたまま
ハンジを恨めしそうに見上げる。
「私はハンジさんに聞いて欲しいから
話してるんですー!」
勢いよくジョッキを煽る姿に
もう飲ませない方がいいと悟る。
「なまえ、もうやめといた方がいい」
「・・・・・・寂しくないですか?
ずっと一人なのは」
ハンジにジョッキを取り上げられると
なまえは唇を尖らせながら呟く。
その言葉にハンジは軽く吹き出した。
「別に結婚が全てじゃないんじゃない?」
ハンジの言葉になまえは不満そうだ。
「みんなしてるのにですか・・・・・・?
大人になったら勝手にするものだと思ってました」
「それは一般論だ。
さ、なまえ。今日はもう帰ろう」
もう限界だろ? と窘めれば、
なまえは帰りたくなさそうにしながらも
荷物をまとめハンジに続こうとする。
ふらつくなまえの身体を支えながら、
深夜の風が冷たい店の外へ出た。