第3章 恵みの雨
「しょーちゃん、コーヒー飲んでい?」
「あ、俺淹れるよ、今飲みたいと思ってたから」
「あっそ?じゃあお願いしまーす」
「うん。ゆっくりしてて」
「ありがと」
櫻井の言葉に、二宮はソファーに
腰かけた。そこはいつも二宮が
座る、いわゆる定位置だ。
そんな場所にも座るのは久しぶり。
櫻井はそこにいる二宮を見るだけで
嬉しくなってまた顔がにやついて
しまうのであった。
「はい、どうぞ。撮影お疲れさまです。」
「今日は疲れてないけどね。」
「まあ、毎日の撮影、ね」
「…ありがと。しょーちゃんチのコーヒー久しぶり。」
「そうだな。…結構雨降ってる?」
「うん、止みそうになかった。」
「そっかぁ…」
「今日はなにする予定にしてたの?」
「今日は買い物。春物ほしいと思ってさ」
「一人で?」
「うん。」
「ふーん。」
「かずは?春物」
「衣装さんからいくつか買っただけ」
「あー、そっか。…な~ぁ、」
「…んー…、」
隣に座っている二宮の
肩を抱き寄せる櫻井。
二宮は素直にもたれかかり、目を閉じた。
チュッ…
「…可愛いキスだこと?」
「ふふ…だろ?なー、昼寝しない?」
「いいよ、寝たい。」
「ん、一緒に寝よ♪」
――――――――――――――
「なんでそっち向くの」
「ん゛~…だって息苦しいんだもん」
「じゃあ上向けばいいじゃん!ほら!」
「…………」
二人はベッドに移動し、
一緒に布団のなかに潜り込んだ。
二宮は櫻井に背を向けて
目を閉じたが、櫻井に抱き寄せられ
うなり声をあげた。
抱きついて寝ると苦しいと
言って嫌がるのだ。
二宮の寝顔を少しでも見たい
櫻井は、腕枕して上を向かせた。
「…しょーちゃん撫で肩」
「寝てたら関係ないだろ!」
「んふふ…」
「よしよし♪」
「ばーか!」
すぐに寝息をたて始めた二宮は
自然に櫻井のほうを向き、
気持ち良さそうに眠っていた。
「…起きてるときももうちょっと素直だったらなぁ?……お疲れさん…♪」
END