第1章 酔っ払いは嫌い!
―楽屋
「お疲れ、カズ」
「お疲れさまでしたー…」
「久々だったな、こんなバタバタ」
「ね…。無駄に疲れた気がする…」
「はは……。」
今、生放送番組が終わったところだ。
野球のハイライトを放送する特番。
今日、急に決まり、
当然この2人も突然呼び出された。
二宮は野球が分かるし
ドラマの番宣も兼ねての選出。
櫻井はスポーツキャスターを
経験しているところの信用だろう。
物分かりのいい2人だったからか
番組は急遽にも関わらず
見事にスムーズに
何の問題もなく終えられた。
「…でも、会えて嬉しい」
「……恥ずかしいこと言わないで」
「だって…今日会えなかったら、あと2日も会えなかったじゃん」
「2日だよ?もうすぐじゃんよ」
「…まぁ…そう、だけどさ……」
この2人、実は恋人同士である。
いつも二宮に押されっぱなしの櫻井。
本当に付き合っているのかと
不安になることがよくある。
それでも耐えられるのは
二宮の性格や本音を知っているからだ。
「カズ…明日早い…?」
「…昼から」
「じゃ、さ…飲み行かない?久々に…」
「……ん、…いいよ」
ニコッと軽く笑って「いいよ」と
言ってもらえるだけで
櫻井の心は晴れるのだ。
「どこ行くー?」
「飲み屋だよな…麻布とか?」
「あー…麻布ね、」
「なに食いたい?」
「別に…、あ。」
「あ?」
「…たまご。」
「たまご?出汁巻き?」
「うん。ちょっと待ってて」
ソファーにぐたぁっと座って
話していた二宮が、
突然携帯電話を手に取った。
櫻井は二宮の隣に座り、
二宮の携帯電話に耳を寄せる。
『はい〇〇〇ですー』
「…あ、二宮ですけど」
『あら!にのくん!?久しぶり!』
「ん、久しぶり。あのさ、今って個室空いてる?」
『狭い方でいい?』
「うん、2人」
『2人ね…あ、今空いたわ!空けておくね』
「ありがとう、30分くらいで行く」
『はーい、待ってるね』
「ん、じゃあ」