第5章 甘い時間 ★
「にのチューハイ?ビールは?」
「ビール…6本買っていい?」
「うん、持ったげるよ」
「ふふ…ありがとう」
「今日はチューハイするの?」
「ん、気分。」
「つまみは?」
「なんでもいいよ」
2人でいるときのにのは
結構素直で甘えたなの。
メンバーにもこんな顔は
あんまり見せないと思う。
俺の前だけの顔♪
にののマンションの近くの
小さいスーパーでビールとか
いろいろ買ってきた。
にのは手の力があんまりないから
荷物はだいたい俺が持ってあげる。
前に無理して持ってて、
派手にばらまいちゃったんだよね。
後遺症の関係だから仕方ないんだけど
にの、それ以来気にしちゃって
俺がいないとあんまりビールとか
まとめ買いしなくなったみたい。
「重くない?」
「大丈夫だよ。早く帰ろ♪」
「うん」
さすがにちょっと重いんだけどね!
缶ビールとチューハイ10本は…。
でも逆の手をにのが握って
くれるからそんなのへっちゃら♪
―――――――――――
「ただいまー」
「ただいまーっ」
「ありがとう、リーダ。」
「持てる?持ってくよ」
「平気。ちょっとくらいなら」
「ん、気をつけてね」
「うん」
玄関に着いて俺がブーツを
脱いでると、にのは両手で
袋を持ち上げて持って行った。
抱えるように持ってて、可愛いの。
「うわ、ほんとに水とビールしかない」
「言ったじゃん。」
「にの、家ここだよな?」
「うん、間違いなく。」
「……ま、飯は現場で食うもんな」
「うん。」
にのんちの冷蔵庫には
ほんとに水とビールしかなかった。
水はちゃんと買った、
ミネラルウォーター。
いい水は飲んでるみたいだ。
「にのー、風呂風呂!先に入ろ!」
「…洗ってきてよ。お湯抜いて」
「はーい!」
にの、一人でもちゃんと
お湯は溜めて入るんだなって
なんか、ちょっとしたことに
嬉しくなるんだよな。
「ねー、もう入れていいー?」
「いーよー。」
「にの、入浴剤いっぱいあんな?」
「うん。こないだもらったの、腰に良いやつ?だからちゃんと入ってる」
「ああー。偉いじゃん♪」
「でしょ?…先につまむ?」
「うん♪」
にのんちは久しぶりだけど、
この、なんもないのに
なんとなく暖かい感じ…?
好きなんだよな。