第1章 ふたり
side:A
俺達が付き合う前のおはなし。
「あ!おはよ~、にの♪」
「おはよーう…」
「おろ。どうしたぁ?」
「…腹減った。」
「お弁当食べよう!!俺も今来たんだ♪」
「ちょーだい。」
「ん、どうぞー!」
今日はお昼からバラエティーの収録。
珍しく一番乗りした俺は、
次に来たにのを元気にお出迎えした。
のに、にのはソファーにドサッと
座ると、天を仰いで「はぁ~」っと
息を吐いて横に倒れた。
「何してたの?朝仕事?」
「んー…仕事っちゃぁ仕事。」
「ん?あ、うまっ!」
「…ほら、やる。」
「やった!さすがにの♪ありがとー!!」
なんかお疲れのよう。
だって、唐揚げくれたんだよ!!?
あ、関係ないって?
でもほんと、にのも忙しいからなぁ…。
ちょっと心配だよね。
腰も痛めてるみたいだし…
「にの、マッサージしてあげよっか!まだ時間あるしっ!!」
「ん…?いいよ。お前にされたら悪化する!!」
「えーっ!そんなことないよっ!!ほらっ!」
「ちょっ!やめろバカっ!!いたっ…」
「あっ……だ、大丈夫…!?」
「……っ、マジで、痛いの…!ほっといて…」
「…ごめん……」
にのは腰を押さえて、そのまま…
目を閉じて寝てしまった…。
俺を睨んだ、苦しそうな目つきが
ちょっとの間、頭から離れなかった…
「あれ?にの寝てんの?」
「あ、うん…腰、痛いみたい…」
「あぁ…そっか。」
にのは収録までずっと寝てた。
いや、起きてたんだと思うけど、ね…。