第27章 バランス
「…うそ。」
「…………」
「嘘だろ?」
「…半分、ほんとだよ?」
「ふふ…そっか。あ…ちょ…」
「ん…」
「あー…あんま吸うなよ…っ」
「…じゅん…」
「ん、…一緒に帰ろ?な…♪」
「ぅん」
嘘、と言って松本に覗き込まれた二宮は、
松本の首に腕を回してガバッと抱きつき
首筋に唇を押し付けて顔を埋めた。
雅「にのが甘えてる…」
翔「可愛いなぁ、にの」
雅「えー、俺は?」
翔「ふはっ!そんなとこで妬くなよ!」
雅「ひゃひゃっ」
「かず、帰る準備して?」
「………」
「だっこしてたら帰れないから。な?かず、いいコだから」
「…じゅん、、あんね…?あの…」
「ん?…ふふ。後で。後で言って?みんなに聞かせたくない」
「……ぅん。……」
「ほら、帰るよ」
「「「………」」」
「「お疲れ様です」」
「「「お疲れ様~!」」」
翔「…にの、やっぱ体調良くないのかな」
智「あんな…甘えん坊初めてみたねぇ…」
雅「ねー。」
―――――――
「かず~?もう言ってもいいよ?」
「ん?」
「なんで機嫌悪かった?みんな心配してた。」
「……寂しかった。」
「半分でしょ?」
「んー…そう、…」
「…なぁんだよ♪ふふ」
「ふあん…だった、のに、ひとりだった、から……こわくなった…」
「…かず…。」
「俺だって…怖いこともあるもん…。期待されるのは、嬉しいけど…怖いもん…俺…そんな、出来ないのに…」
「…かずは出来るよ。なんでも出来て、羨ましいくらい♪」
「違うもん…」
「でも、俺の前では甘えっ子でなんも出来なくてただ抱き付いてくる、可愛い恋人。」
「………」
「期待してくる人にはしてもらっとけばいいよ。いいことなんだから。ね?だから俺の前ではこれでいいの。力抜いて」
「…ん…すき。じゅん。」
「ふふ…可愛い。愛してるよ、かず。」
「……んっ」
「あっ…また、お前…吸うなって…」
「んふふ…」
人間、バランスが大事。
二宮が周りから期待されることは
松本にとって嬉しいこと。
でも…それで二宮がしんどくなって
しまうなら…自分の前では
頑張らないでいいように…
安心できるようにするだけ。
メンバーの前であんなに態度に
出るほどのこと…あまりない。
最近は忙しくて会えなかった
ことを松本は悔いた。
いま、次への勉強段階の二宮は
ずっと家でひとり…頑張ってるのだ。