第19章 可愛い嫉妬
ドンッ…
廊下に小さく響いた音を聞いたのは
そこにいた2人と、もう1人…
「ケンカ売ってる?」
「…売ってないでしょ…」
「……悪かったな?お前みたいに冷静じゃなくて」
「なんですぐそうなるのよ…はぁ…」
「…チュッ、」
「んッ…」
いわゆる壁ドン。
松本と壁のあいだに挟まれて
片腕を掴まれた状態の二宮は俯き、
はぁ…とため息をついた。
松本はそのため息をかきけすように
二宮の顎をグイッと持ち上げて
その唇に吸い付いた。
「ン!はっ…ん″…っ、は!ながい…!!しぬ…//」
「死なねぇよ。」
「…ばか。離せっ」
「やーだ。」
「もー、なに。どうしたらいいの?」
「素直になれ」
「それ俺に言ってる?」
長く激しいキスをされても
二宮が怯む様子はない。
松本は腕にぎゅーっと力を入れた。
「……むーかーつーく」
「いーたーいっ…」
「ふふ…」
「…誰かに見られたらどーすんの?」
「だって楽屋でやってたら気まずいじゃん」
「やらなきゃいいんだよ?」
「もっかいされたい?」
「…別に…してもいいけどね、」
「んっ…ちゅ…」
二宮は松本の頭を抱え込むように
引き寄せ、自ら唇を奪いにいった。
「…満足?」
「自分だってしたかったんじゃん」
「あなたが妬くの分かってましたから?」
「確信犯か」
「ここまでとは」
「…なんでそんなかっこいいの?」
「あなたがいいます?」
「かずはいつもかっこいいもん。気が利くし、周りが見える」
「………」
「かずにとって普通なのは知ってるよ?そういうとこが好きなんだもん。でも…モテすぎ。」
「ふふ…ありがとう?」
「んー」
「好きですよ、あなたが」
「…はい。」
「…まだこんなに必死になってくれるところが、」
「ばかにしてんだろ」
「ふふ。ちょっとだけ?…そろそろ少しは自信持ったら?この数年、俺が浮気したことあります?」
「ないです…」
「そんな、誰もが羨むほどイケてる顔して自信ないとかどんだけなの」
「…抱きしめていい?」
「……まー、いっか。」
「うー!」
「ふふ………ということなんで、あんま俺のこと褒めないであげて?」
「は?」
「…………//」
「は!!?」
「誰かに見られたらどーすんの?って言ったでしょうが。」
「お前っ…」
角から現れたのは、さっきの収録で
二宮を絶賛し、最近懐いている後輩俳優。