第34章 ぎゅってして
和「…じゅん…」
潤「ん?」
和「……こわかった…」
潤「…うん。」
和「…ぎゅって、してほし…」
潤「ぁ、起き上がれるの?大丈夫?」
和「だいじょ、ぶ…じゅん…」
潤「ん、分かったから…座れるの?」
和「座れる…」
二宮は身体を重そうに起こし、
松本に手を伸ばした。
和「ぎゅって、して…」
潤「ん…ぎゅー…ふふ」
和「じゅん…」
潤「かわいい………あ。」
和「ん…?」
潤「…かず、後ろ向かない方がいいよ」
和「え…?」
潤「……いつから見てんの」
翔「だって、入って行けなくて」
雅「お邪魔みたいだったし」
智「でも可愛くて目が離せなかった♪」
潤「………」
和「………」
二宮を抱きしめた松本の視線の先には
3人が覗く扉があった。
見られていたと気付いても、
二宮はずっと松本に抱きついたままだ。
雅「甘えてるの?にのちゃん♪」
和「…ん、」
雅「ふふ…座れるんだね。よかった。食べる?」
和「ありがと…」
二宮の顔が見える方へ行った相葉。
二宮はもう、完全に神経を緩ませて
怒る気配も恥ずかしがる気配もなかった。
潤「ベッドあげられる?」
翔「俺やる」
潤「ありがと」
さっきと雰囲気の違う二宮に
メンバーもにこにこだ。
やっと、素の二宮が出て来た。
スタッフがいるとどうしても
気を遣ってしまう。
それが分かっているから、
早くこの2人きりの時間を
作ってあげたかったのだ。
智「美味い?」
和「うん、めちゃめちゃ美味い」
翔「久々だわー、ケンタッキーとか」
潤「たまに食べると美味いよね」
雅「にのちゃんビスケットもあるよ」
和「ありがと」
ワイワイと5人でチキンを食べ
松本を除く3人は帰って行った。
翔「また明日寄るわ」
潤「うん。ご飯ありがとうね」
雅「甘やかしてあげて♪」
潤「もちろん…」
雅「かわいいなー、いいなー、ぎゅってして…って…あーかわいい」
翔「ふはは!」
智「ふふ…かわいい…♪けど、まだ不安だろうから、見ててあげてね」
潤「…ん、ありがとう」
この日、松本はずっと二宮の寝顔を見ていた。
両手で、手をぎゅっと握りしめて…。
END