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短編集 MN【気象系BL】

第33章 無題





「……俺も飲もうかな…」
「…ぁあ。頼む?」
「潤も飲む?俺の」
「うん、飲みたい。」
「ふふ…ちょっとくらい良いよね…。頼んじゃえ!」

かずがいつものように、
いつもの、って頼んだら
バーテンダーさんはどこか
嬉しそうな表情を見せ、
いつものように、はい、と言った。

「ね、ちょっとアルコール飛ばして?」
「…はい。ちょっとね」
「ありがと、」
「……お酒、久しぶり…」


やっと、話し出した。と思った。


「最近飲んでないんだ?」
「ん…。」
「舞台終わり、飲みたくなんね?」
「なるけどねぇ……」
「あんな内容なら酔いたくなるよな~…」
「んー……腰、痛くて…飲めないだけなんだけどね…」
「……そっか…。」
「…………働きすぎだって…。知らねぇっつーの…ははっ…」
「……………」
「…なぁんでこんな時に……」
「……かず…」


やっと本音が出た。

今のかずはちょっと叩くと
崩れそうなくらい弱々しくて…。
優しく頭を撫でて少し抱き寄せて
やると、かずは素直に身体を寄せてきた。


目には…めったに見れない貴重な涙…。



「…どうぞ。」

「……………おちつく…」

「…ありがとうございます」


次に見たかずの表情は、
柔らかく微笑んでいて、
すごく…すごく、愛らしかった…。


「……頑張りすぎるなよ…」
「………ん、…」


かず、お前には強い支えが4本もある。

たまには…崩れてもいいんだよ……



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