第33章 無題
side:M_2
「う゛っ…」
「わっ!!ちょっ…大丈夫か!?」
「っ…ごめっ…ちょっと、…待って…」
「うん、ゆっくりな。」
「…ふぅー…っい!……っ、!!」
「かず…!」
ここは楽屋。
中には俺とかずがいた。
かずが、ゆっくりソファーから
起き上がって、立ち上がろうとした瞬間、
かずは顔を歪めて唸り声をあげた。
かずの体がぐらっと揺れて、
俺はとっさに抱き止めたんだけど…
「えっ、何してんの…?」
「相葉ちゃん!良いとこ来た!ちょっと手伝って!!」
「にの!?うそっ大丈夫?!!」
「この下くぐれる?かずおぶってあげて?」
「おっけ。にの、俺の上乗っかれる?」
動けなくて困っていたら、
ちょうど相葉ちゃんが楽屋に入って来た。
助かった…!
どうにか2人でかずを
簡易ベッドに寝かすことが出来た。
かずはまだ額に汗をかきながら唸ってる…
「ありがとうございました…」
「いいけど…にの、そんな悪いの?」
「…痛いときは、ちょっと動くのも痛いみたいです…。あんまり言わないんですけど…」
「痛み止めとかは?」
「錠剤の飲み薬を飲んでます。それでもこんな感じで、…」
「この状況で舞台やってんの!?」
「あ、舞台前には注射を…。でも1日に何回も射せるものでもなくて、だから…他の仕事の時は辛いはずです…」
「…我慢しすぎだろ…」
腰痛が出てるのは知っていた。
レギュラーのバラエティーでも、
動くのは全くやらなかったし、
合間合間でマネージャーが
心配そうに声をかけてた。
でもかずは平気そうで…俺らは…
こんなに重症だなんて、知らなかった…。
――――――
「おはよー」
「おー、にのお疲れ」
「どうも~」
「はい!二宮くんお弁当食べて、これ飲んで下さい!ちょっと急ぎ目で!」
「は~い。」
舞台終わりのかずが楽屋に入って来た。
今日は昼1回公演だ。
腰を庇う様子はない。
注射が効いているんだろう…
「かず、おはよ」
「んーおはよー」
「な、これ食べていい?」
「んふふ…いーよ」
「さんきゅ♪…今日はこれで終わり?」
「うん、終わり。」
「…久々に行かない?」
「んー…ごめんね。今日はいいや…」
「…そっか。また行こうな」
「うん」
かずは、俺が誘ったら一瞬
嬉しそうな表情を見せた。
行くな、と思ったのに…
その答えは俺の予想外なもので…