第13章 破面編(前編)
それなのに足は止まらない。斬魄刀を抜き、氷の牢を砕く。
「お前……ッ!そいつは敵だろ!!」
「冬獅郎…。…私、は…藍染の味方だから。」
「な……ッ!」
口を開いた日番谷を遮るようにして、空から光が射し込む。それは尸魂界で見た光景と同じものだった。
反膜が、ヤミー、ワンダーワイス、ルピとゆうりの上から囲う。こうなればあの時と同じだ。手出しする事は出来ない。
「…ちっ。…任務完了か…。」
「…残念だったね隊長さん…ボクのこと殺せなくてさ。忘れないでよね。次に会ったらゼッタイ、キミのそのちっこいアタマ、ネジり切って潰してやるからさ!」
「さようなら。」
「ゆうり!!待て!」
日番谷の声から背を向ける。コレでいい。私の事は気にせずに尸魂界が必要な準備を進めてさえくれれば良いのだ。
氷の膜が剥がれ落ちるルピの身体を支え、ゆうり達は黒腔の奥へと消えていった。
虚夜宮では既にグリムジョーとウルキオラが戻っていた。ウルキオラには傷1つ無いが、グリムジョーは腹に大きな傷を負っている。ゆうりは彼に駆け寄ると、迷わず淡く白い光で傷口を包み込む。
「テメェ、何しやがる…!」
「傷、治すから動かないで。アナタ、一護と戦ったのでしょう?…真子の霊圧も残ってる。」
「……チッ、アイツらの知り合いかよ。反吐が出るぜ、こんな死神が虚夜宮に居るんだからよ。」
「……煩いわね。」
居たくてここに居るわけでは無い。そう言いかけるも口を噤む。いっそ左腕まで治してやろうかとも思ったが、その一言で興が削がれ腹の傷だけを治したゆうりは、今度はルピの元へ戻り所々に残る凍った痕を回帰の力で元に戻した。
そんな彼女の様子をウルキオラはただ無言で見詰める。止めることも無ければ促す事も無い。
「…女。お前は部屋に戻れ。お前たちは俺と共に藍染様の元へ。」
「私は良いの?」
「早く行け。」
「…もう、わかったわよ。」
相も変わらず素っ気ない態度に唇を曲げるとゆうりは彼らから踵を返す。
与えられた自室に戻り、ソファの上へ仰向けで寝転がる。片手を持ち上げ手の甲を額に充てて瞼を伏せた。すると一日の出来事が網膜の裏へ浮かび上がる。