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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第13章 破面編(前編)



気付かんならキミはなんも知らんままでええで。それが彼との約束やからね。…まぁ、ボク以外の男のためにこんなんするんは不本意やけども。アーロニーロくんに喰われた事知らんかったら後悔しはるのは、ゆうりやろ。泣いてる顔も好きやけど、他の男の為に泣くなら見とうあらへんし。
一切を語らない彼にゆうりは再び大きく息を吐いた。そもそもこの城には藍染も居るのだ。いつ何処で何を聞かれるかなど分かりもしない。だから安易に口を開く事も出来ない。

「…貴方の愛が一番重いわ。」

「褒めんといて。」

「褒めてないのよ。ギンが何か隠してるのはわかった。でもおいたが過ぎると私も本気で怒るからね。」

「まだ本気で怒っとらんの?」

その場を後にしようと背を向けたゆうりに市丸は何気なく声を掛けた。彼女が1番嫌がるであろう事をした自覚はあった。だからこそ許容された事が少しばかり意外だったのだ。何なら、顔を合わせて直ぐに飛び掛って来るものだとばかり思っていた。そんな市丸をよそに彼女は目を丸めて振り返る。

「貴方、今までなんの意味も無く意地悪して来た事なんて無いじゃない。」

「……あんまボクの事信用し過ぎたらアカンよ。」

「昨日彼と顔を合わせた時、腹が立ったけれどそれは海燕さんを利用された事が辛かったからよ。ギンのやり方は最低だったけれど、意味の無い出会いではなかったもの。私にとってはプラスになる情報だった。」

ゆうりの言葉に市丸の瞼が僅かに揺れる。…全く、彼女は察しがいいのか悪いのか。志波海燕の姿をしたアーロニーロと直接会わせた事は確かに意地悪のつもりだ。けれど。本気で彼女が憤るであろう事はしていない。彼女の周りにいる男を1人でも多く蹴落とすのであれば、知っているにも関わらず教えない方が考えうる中で最も意地の悪いことなのだから。それをしない自分はとことん、ゆうりには甘いらしい。そんな己を嘲笑する。

「せやったらなんかお礼があってもええんとちがう?」

「調子に乗らないで。それとあんまり回廊弄らないでよ!」

今度こそ彼女は行ってしまった。市丸はそれを見送り再び静かにモニターに視線を戻す。
一方ゆうりは部屋に戻ろうと踵を返してから暫くして、また別の人物に捕まっていた。スラリとした長身に鮮やかなピンク色の髪、眼鏡を掛けた男、彼は確か…
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