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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第13章 破面編(前編)



現世に向かうほんの1日前の出来事だった。いつもの様に仕事をしていたゆうりの伝令神機が鳴り響く。
ディスプレイを見るとそこに表示されているのは名前ではなく数字の羅列だ。見覚えの有るその数列に迷わず応える。

「もしもし?」

『おう、ゆうりか?オマエソッチで戦争終わったんやろ。コッチ戻って来んの?』

「明日向かう予定だよ。…というかよく知ってるね。」

『アホ、破面が出現しとるんやぞ、嫌でも分かるわ。それより、今日来ィや。ひよ里がうっさいねん。』

「ひよ里ちゃんが?うーん、出撃命令は明日なんだけど…まぁ一応必要な仕事は終わらせたしちょっと相談してみるよ。」

そんな会話をしたのがもう数時間前の話だった。三席に必要な引き継ぎや執務を終わらせている彼女は約束通り現世に向かい、浦原から義骸を受け取って彼の霊圧を感じる学校へ向かう。
今は丁度昼刻だ。生徒たちも休み時間に入ったようで廊下は騒がしく、お弁当やコンビニの袋を持つ人が行き交っている。その間を潜り抜け漸く教室まで辿り着き扉を開いた。

「あれ!?染谷さん!久しぶり!」

「染谷さんだ!」

「みんな久しぶり!」

どうやら記憶は削除されていなかったらしく、ゆうりに気がついたクラスメイトは声を上げる。その中に井上、佐渡、有沢、本庄の姿は見えない。然し目的の人物は教室に留まっていたらしい、明るい金髪姿にどっと安心感のようなものが生まれる。声は聞けどその姿を最後に見たのはもう何年前の事だろうか。その喜びから自然と足が床を蹴る。

「真子!」

「久しいのォ、漸く顔見れたったわ。」

男にしては華奢に見える背中に腕を回すとしっかり抱きしめ返された。ふと香る香水の匂い。それがとても心地よく懐かしさも相まって涙腺が緩みそうになった。
まるで恋人同士の再会のような雰囲気に教室はザワつく。驚いたのは一護も例外では無く、双眸を見開かせる。2人の抱擁に驚いた、というよりそもそも面識が有る事が予想外だった。その時ふと彼女と出会って直ぐの事を思い出す。初対面、どこか見覚えのある風貌だと感じていたが…それもそのはずだ。数ヶ月前たまたま目にした彼女の携帯に写っていた男こそ、平子真子だったのだから。
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