第8章 現世編(前編)
子宮口まで届きそうな程深く激しい抽挿にゆうりは彼の背に回した腕に力が篭った。そして最奥を突き上げられると同時に視界が白く飛び声にならない声を上げながら達する。酷く収縮を繰り返す内壁に、次いで浦原がくぐもった声と共に白濁とした体液をゴムの先端へと吐き出す。互いの荒い呼吸だけが静まり返ったら室内へ繰り返された。ゆうりはぼんやりとした瞳で浦原を見上げる。
「…凄い、激しかった……。」
「はは…無理させちゃってスイマセン。でも可愛かったっスよ。」
「喜助の余裕のない顔、ちょっとドキドキしちゃった。」
「アナタの事に関してはいつも余裕無いつもりなんですけど…。」
「んっ…。」
ずるりと性器を引抜き薄桃色のゴムを外し結んでゴミ箱へと放る。しっとりとかいた汗が気持ち悪い。ゆうりは髪を払い身体を起こした。
「…後悔してる?」
「…してませんよ。まぁ、あわよくば正式に付き合ってからしたかった、っていうのは有りますけどね。」
「ふふっ、そうね。でも私は喜助の今までに無い一面を見れたから良かったわ。」
そのまま床に足を降ろし立ち上がった彼女は身体を伸ばしてからくるりと振り返った。余りにもあっさりとした様子に些か拍子抜けの様なものを感じながらも、変に意識すること無く今までと変わらない様子に何となく安心した自分も居る気がする。浦原は小さく溜息を零すといつもと変わらずへらりと笑った。
「そのまま惚れてくれる分には大歓迎スよ!」
「それはどうかしら。ほら、お風呂入りましょう。汗でベタベタだもん。このままじゃ帰れないわ。」
「釣れないなぁ。」
ぺたぺた音を立て床を歩き回りゆうりは先に風呂へと向かう。そんな彼女の背中を見て頬を搔いた。これで少しは男に触れる事に躊躇いを持ってくれれば良いのだが…彼女にはあまり効果は無かった気がする。多分、いや…絶対にこれからも己の気苦労は減らないだろう。
そんな確信めいた事を思いながら、遠くから呼ぶゆうりの声に浦原はベッドから立ち上がり彼女の元へと向かったのであった。
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