第7章 死神編【後編】
「おや…朽木隊長とゆうりちゃんじゃないか。熱はもう下がったのかい?」
「…京楽隊長?おはようございます。熱は下がりました。隊長も七緒ちゃんとわざわざ足を運んで下さったようで本当にありがとうございます。」
「いいよォ、可愛い女の子が倒れたと聞いちゃお見舞いの1つ行かないと。ね、朽木隊長。」
「私は己の部下故に様子を見に行っただけだ。兄と一緒にしないで貰おう。」
「相変わらず冷たいねぇ。それにしてもそれ全部お見舞いの品?とんでもない量だね。ボクも手伝おうか?」
「いえ、そんな…!白哉に手伝って貰ってるだけでも畏れ多いのに、他隊の隊長の手を煩わせるなんて。」
「どうせまだ勤務始まってないし朝の散歩してただけだから。ほら、貸して。」
「あっ!」
ゆうりの手の中にある酒瓶や花をひょいひょいと取り上げる京楽に白哉は顔を顰め、彼女は眉を下げた。京楽はへらへらと笑いゆうりの持っていた荷物の殆どを抱える。
「…わざわざ他隊女にまで手を掛けるとは、八番隊は余程暇と見えるな。」
「はは、まぁそう言わないでよ。ボクは女の子皆の味方なの。それに…久々にゆうりちゃんと話したいんだって。」
「七緒ちゃんが聞いたら呆れて何も言わなさそうな位歯の浮く台詞ですね…。」
白哉の嫌味も諸共しない京楽は結局二人の後をついて来る。余りに珍しい組み合わせだからか、見回りをしていた隊士は彼女らが通る度、驚き2度見する。
「そんなにボクと朽木隊長が一緒にいるのは珍しいかね?」
「そもそも白哉が人と居ることが珍しいんですよ。」
「必要以上の馴れ合いは不要だ。」
「不要なんてことないよ!ね、京楽隊長。」
「そうだよ。そもそもそんな事思ってるならゆうりちゃんのお見舞いには来ないでしょ。」
「…口が過ぎるぞ。」
「おー、怖いねぇ。」
「本当は優しいのに不器用なんですよ、白哉は。」
「貴様も、余程私に斬られたいと見えるな。」
じろりと睨まれゆうりは直ぐに京楽の後ろへと隠れた。そんな彼女を数秒見詰めた白哉は思い出したかのように唇を開く。
「……ゆうり。貴様の斬魄刀は、白い髪の男か?」
「え?うん、そうだけど…なんで白哉が知ってるの?」
「昨日、具現化していた。ゆうりに良く似ている男だな。」