第6章 死神編【駐在任務編】
「つ、遂にこの時が来たんですね……。」
「期間は3年。重霊地とされる場所だ。」
「さっ…3年!?長いなぁ。」
「事実、異例である事は確かだ。通常であれば長くても1年…それ程現在の重霊地に霊が溜まりやいのだろう。これが伝令神機だ。」
「ありがとう…うう、3年も会えないなんて寂しいね。」
「一度この地を去り、死神になって戻ってくる迄の期間と比べればほんの僅かな時に過ぎぬ。」
「それもそうね…。限定霊印は?」
「必要だ。」
「はぁい…。」
白哉とそんな会話を交わしたのは昨日の話だ。ゆうりは与えられた任務をまっとうする為既に現世へとやって来て居る。指定された場所へ向かうと、かなり長期に渡る任務だからか何故か戸建が用意されていた。
「何で一軒家…?しかも二階建て…。」
ゆうりは紛れもなく自分の苗字が彫られた表札を見詰めてから大きな一軒家を見上げた。いくら長期だからといえどこれはデカすぎる。彼女は無表情のままスっと伝令神機を取り出しすぐ様白哉へ掛けた。
『到着したか。』
「いや、うん…着いたんだけど……家、一軒家で合ってる?普通アパートとかホテルとか…。」
『わざわざ表札まで作らせたというのに場所も分からぬ程ゆうりが愚鈍であった記憶は無いぞ。』
「そうじゃなくて……ん?え?白哉が用意したの!?」
『無論だ。私の部下を、現世といえどみすぼらしい部屋に住まわせる等有り得ぬ。小さいと言うのなら別の土地を』「いい、いい!大丈夫です!ありがとう白哉!!!駐在任務頑張ります!」
全く冗談とは思えぬ口調で淡々と語る白哉にゆうりは慌てて通話を落とした。通りでおかしいわけだ。いくら任務とはいえ、1人で暮らすのにこれ程までに大きな住処は必要無い。一般人と酷く掛け離れた金銭感覚に驚きつつ、上司からの厚意を無下にする訳にもいかず予め白哉から受け取っていた鍵で解錠し、恐る恐る扉を開いた。
「うわ、広い…。」
靴を脱いで中に入ると外観に違わず広く尚且つ家具までしっかり取り揃えられていた。もはや自分がこれから住むという実感すら湧かない程整っている。
時刻はまだ昼にも満たない。ゆうりは着替えや食材を買いに行く為財布を持って新たな家を出た。