第11章 秀吉のぼやき②
女ってやつは、本当に理解し難い。
信長様と、遠方への視察の為安土を留守にする事一週間。帰ってみるとアヤの様子が何だか変だ。
広間に入るなり、アヤを強引に自身の横へと座らせた信長様。いつものアヤなら悔しがり睨んでいたはずなのに、下を向き、俯いてはにかんでいる。
信長様は城を発つ前よりも人目を気にせずアヤにべったりしている。
皆の意識はどうしてもそっちに向いてしまう。
俺の報告、みんなちゃんと聞いてるのか?
「秀吉、もっと大きな声で話せっ、アヤの心臓の音がうるさくて聞こえん!」
信長様が叫ぶ。
アヤは顔を真っ赤にして更に俯いている。
アヤお前、やっぱり変だぞ!以前のお前なら睨んでただろ?
政宗と光秀はにやにやして、俺の話を聞いてなさそうだ。
家康は、分かりやすくため息をついて、やっぱり聞いてなさそう。
三成、俺の味方はお前だけだ。
やっとの事で報告を終え、皆が広間から出始めた時、信長様の方を振り返るとアヤへ口づけをしている最中。
俺は急いで皆を広間から追い出し、襖を閉めた。