第72章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜
「シラを切るつもりですかっ!ほらここ見て下さいっ!家紋が入れられてますよねっ!」
このお城で家紋を使うことができるのは信長様だけ。勝手に使うのは重罪だ。だからこれは信長様が贈った物だと言わざるを得ない。
「家紋など誰でも簡単に入れられる。それにしても貴様は、何故いつも俺ではなく他者の言葉のみを信じる?」
信長様は、はぁ〜っと大袈裟にため息を吐いて私を呆れ顔で見た。
「………っ」
ごもっともな意見に私の勢いは途端に失速して行く。
「アヤ」
信長様は私の片手を取り、信長様の下半身へと当てた。
「なっ、なっ……!」
「俺のここは貴様にしか反応せん。他の女では勃たんっ、立証済みだっ!」
「なっ、たっ、タッ、勃っ……!」
(何を急に言い出すのっ!?)
ソコは触れた事も見た事もあるけど、急に触らされ閨で聞くような言葉を言われれば驚くに決まっている。
(あれ?でもちょっと待って)
「今、立証済みって……!やっぱり…」
(他の人で試したことがあるって事だよね?)
私の突っ込みに、信長様は更に呆れた顔を見せた。
「勘違いするな、貴様と恋仲になる前の話だ。ある意味それで貴様への思いに気づいた」
「えっ、本当に?」
急な甘いジョブに心はよろめいてしまう。
(…って、私のバカバカっ、喜んでる場合じゃないでしょ)
「でっ、でもあの子は?この赤ちゃんのことはどう言い訳するんですか?」
私の子ですなんて言ってわざわざ我が子を手放してまで言いにくる母親なんている?
「こっちは俺の子だが、あっちは俺の子ではない」
信長様はそう言うと、何の迷いもなく紗菜を抱き上げた。
(まだどっちが紗菜かなんて言ってないのに、何で分かったの…?)
「どうして分かったかって顔だな。簡単だ。貴様に目元が似ている。俺の望み通り、貴様に似た愛らしい姫だ。まぁ今は目尻を吊りげておって似ても似つかんがな…」
(むっ!むむむっ!)
キュンとしたのに余分な一言でまたもや頭が噴火した。