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恋に落ちて 〜織田信長〜

第71章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜



信長様の誕生日前に分かった二人目の妊娠からあっと言う間に年末となり、安土に集っていた武将たちもそれぞれの領土へと戻って行った。

まだ中国攻めが続いている安土城内は戦地で頑張っている人達の事もあり派手派手しいお祝い事は控えており、除夜の鐘が天主までクリアに届いていた。


「かね、じょやのかね」

「そうだね、鐘の音、聞こえるねー」

「ねー、かね、かねのおとー」

二歳になったは吉法師はさっき覚えたばかりの言葉を楽しそうに繰り返す。

「アヤ今夜は冷える。もう一枚羽織れ」

部屋へ戻ってきた信長様は私の肩に厚手の羽織を掛けてくれた。

「ありがとうございます」

「こやつはまだ起きておるのか」

瞼が一向に重くならない吉法師の頭を撫でながら信長様は困った顔を私に向けた。

「除夜の鐘の音が気に入ったみたいで…全部聞くまで寝ないそうです」

「このまま新年を迎えそうだな」

私の横に腰を下ろして信長様はふっと笑った。

「はは、あかちゃん、ケリケリする?」

吉法師の興味は次は私のお腹の赤ちゃんへと移る。

「どうかな?触ってみて」

そう言うと、吉法師は小さな両手で私のお腹に触れて頬を寄せた。

「……あ、ケリケリしたっ!」

キャハハっと、嬉しそうに声を上げる。

「吉法師、俺にも聞かせろ」

信長様も一緒になって私のお腹に手を当て顔をくっつける。

(ふふっ、親子で同じことしてる)

同じ顔をした親子が揃って私のお腹に顔と手を当てじっとしている姿にキュンとしてしまう。

「あかちゃん、あいたいね」

反応するお腹に吉法師は一生懸命に話しかける。

「もうすぐ会えるよ」

すでに臨月に入ったから、いつ産まれても良いように心の準備はしてあるけど、少しだけ不安はある。


「アヤ……?」

私の不安を見逃さない信長様はお腹から顔を離すと、私の肩を抱き寄せ頭を合わせた。



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