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恋に落ちて 〜織田信長〜

第69章 私の育った故郷では 〜信長様誕生日sp〜



「はい、ありがとうございます。あの日は確かに突然で不安な気持ちが勝りましたけど、今はもう不安よりもお腹の子が愛おしい気持ちで一杯だから大丈夫てす。それに、信長様のそんな思いも知ることができたから、余計にやる気が出ちゃいました」

私は本当に成長しない。
信長様はいつだって私のことを一番に考えてくれるのに、私はいつまでたっても自分の気持ちが中心で、周りが見えていない。


「お前がそう言ってくれるなら安心だが、あまり無理はするなよ?」

「はい」

「あー、あと、今日ここに俺が来たことは信長様には内緒な?俺はすぐに京に戻るから、お前は何も知らないふりをして信長様を説得してくれ」

「分かりました。でも、葵には会って行ってあげて下さいね?気丈にしてるけど絶対に秀吉さんに会いたいはずだから…」

暫くは会えないと思ってた秀吉さんに会えたら、葵泣いちゃうだろうな。

「ああ、そのつもりだ。俺も会いたいしな」

葵の事を話す秀吉さんの顔はいつも以上に優しくなる。


「信長様は鼻も勘も効くからな。バレる前に俺は行くけど、アヤ、あとは頼んだぞ」

「はい、任せて下さい」

「あと、子ども、おめでとうな、無事に元気な子を産んでくれよ」

「ふふっ、ありがとうございます」

秀吉さんはもう一度私の頭をぽんぽんすると、足早に台所から去って行った。


「葵、喜ぶだろうな」

中国攻めの総大将を任されている秀吉さんと、その下で軍師として策を練る三成くんは、ここ二年ほど中々安土には帰って来れていない。時には前線で戦い士気を高めることもあると言う秀吉さんの安全を、葵は日夜祈っている。

この戦が終わって天下統一がなされれば、二人は祝言を挙げると聞いている。

「どうか一日も早くそんな日が訪れますように」

このお腹の子が生まれる時は平和な世の中になっていますように……


「あっ、次は料理に取り掛からなくっちゃ」

今日は、信長様の誕生日だ。
育休発言には驚いたものの、この日はやはり特別な日。今は戦中で武将達と集まって大々的に宴会ができない分、親子ででたくさんお祝いしてあげようと、私は信長様が戻られるまでの間、誕生日の支度を楽しんだ。




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