第69章 私の育った故郷では 〜信長様誕生日sp〜
「育休…って、本当に信長様がそう言ったんですか?」
そんな未来のワードを?
「そうだ。京に入られた信長様に中国攻めの報告を終え、今後の予定を滞在期間中に詰めたまではよかった。けどそれら全てがまとまり明日安土に帰られると言う夜の宴の席で突然「アヤの腹の子が生まれ次第、俺は”育休”に入る」と言い出したんだ!」
なんて前触れもなく突然に……!
「それで…皆さんの反応は?」
「もちろん最初は訳がわからなかったさ。”いくきゅう”なんて言葉は初めて聞いたからな」
ええ、そうでしょうとも。
「だが説明を聞くうちに、それは子育てのための休暇を取ることだと分かり、アヤを助けるためには必要で、もちろんそれは俺たちの望むところでもあるから、今後のこともあり俺たちは何日休まれるのかと聞いたんだ」
みんな…未来の男性陣よりも優しくて理解が早い。
「それで、信長様はなんて言ったんですか?」
男性の育休って、どれくらい取るものなの?1週間?一ヶ月?一年ってことはないよね?
「アヤが満足するまで……と仰られた」
「え!それって、私次第ってことですか?」
「そうだ。そこからは誰が何を聞いても、知らん、分からん、アヤ次第だ!の繰り返しで、しまいには…」
『育休中に、アヤが再び孕めば育休は延長する』
「こう仰られ、宴は終了した」
「………っ、信長様すごい」
知らなかった。育休中にまた妊娠したら延長できるんだ?
信長様って、私よりも育休制度を理解してる?って、二人目できたばかりでもう三人目の話っ!?
「信長様が突拍子もない事を言うのはいつものことだが、今回はさすがに想定外過ぎだっ」
「それは…そうですね。…色んな意味で私も驚きました」
信長様の育休発言は、私にも秀吉さんにも予想外の爆弾を落としたようだ。
「アヤ、お前を責めてるわけじゃないが、何を信長様に言ったのか教えてくれ」
話は最初に戻った。