第64章 貴方と温まる夜〜大晦日特別編〜
「案ずるな、明日は昼まで寝ておれば良い」
「元旦から寝正月ですか?」
「たまには良いであろう。急な来客も断るよう伝えてある。飯も昼餉の用意からで良いともな」
「っ.........」
相変わらず、何て手際の良さ。
「おっ、眠ったな。布団に置いて来るゆえ貴様はそのまま覚悟を決めて待っておれ」
「は、はい」
隣の部屋へと吉法師を連れて行く信長様。
布団に子供を置いた途端泣き出すと言うあるあるを、私はもう何度も経験済みだけれど、気配を消す事を追求して来た武士の成せる技なのか、信長様はまだ一度も失敗していないだけに、この後もめくるめく愛の営みがあるのは確かなようだ。
「待たせたな」
シーーンと静まり返った部屋から出て来て襖を閉めた信長様は、私を見て不敵な笑みを浮かべる。
「べ、別に待ってません」
これから色々されるであろう事を思うと身体は勝手に熱を持つ。
「待っていないかどうかは貴様の身体に直接聞く事にする」
「もう、............んっ....... 」
羽織っていた着物を取られて抱きしめられれば、幸せが身体中に広がって行く。
ボーーンと、最後の鐘の音が耳に届いた。
「あっ、新年になりましたね。....ん」
108回鳴らす鐘の内、最後の一回は新年に鳴らすと言う除夜の鐘。
「年が変わろうと、貴様を愛する気持ちは変わらんっ。アヤ、愛してる」
「ふふっ、私も愛してます」
去年よりも今年、そして来年はもっとあなたを好きになる。
遊ぶように私の唇を啄んでいた唇は、ピッタリと重なり深く探られて行き、私を再び快楽の中へと誘う。
奇跡的に吉法師が朝まで寝てくれたこの夜、私達は飽きる事なくお互いの温もりと愛を感じ合った。