第63章 妻に望むもの〜信長様誕生日sp〜
「アヤ」
買い物を終え、大きな荷物を抱えて石段を登ろうとした時、大好きな人の声が聞こえた。
「っ、信長様っ!戻られたんですか?」
私の思ってた予定よりもかなり早い。
「貴様の顔が見たくてな」
ニッと笑う信長様。
約一月ぶりのその笑顔と声。
駆け寄って抱きつきたいのに、荷物が重くて....
「大荷物だな」
あたふたする私に笑いながら近寄った信長様は、私の手から荷物をひょいっと片手で取って、抱き寄せた。
「貴様は本当に手のかかる奴だ、いつでも抱きしめられるように手は空けておけ」
「っ、はい。お帰りなさい」
「挨拶はいい、触れさせろ」
私の頬に手を当て少し強引に引き寄せられた。
「んっ......」
自然と重なる唇の感触と温かさが、信長様が戻ってきてくれたことを実感させてくれる。
「っん、会いたかったです」
「俺もだ、アヤ、まだ足りん」
「んんっ....」
チュ、チュク、と口付けの甘さに体が痺れる。
お城へ入る前の石段と言うことも忘れて夢中で口づけあう程に、久しぶりの口づけで......
ずっと、一人の夜を過ごして来て寂しかったからずっとくっついていたい。離れたくない。
「離れてみるのも良いものだな」
「はぁ........えっ?」
「こんなに強請る様な口づけを貴様に返されるのも悪くない」
ニヤリとイタズラに笑いながら、信長様は私の唇をペロリと舐め、再び重ねた。
カァッと、顔が熱くなったけど、その通りで.....
「んっ...........っ、ん」
チュルっと、舌先で優しく口内を擽られると羞恥なんて簡単に取っ払われ、
結局、立っていられなくなる程に口づけられ、買い物の荷物共々抱き抱えられてお城へと戻った。