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恋に落ちて 〜織田信長〜

第63章 妻に望むもの〜信長様誕生日sp〜



「んーっと、まずは甘味の材料からだよね。葛粉と小豆と砂糖ね」


中国攻めが始まって約二ヶ月、その間に私も少しづつ台所事情に馴染み、レパートリーは少ないけど料理が作れるようになった。

妊娠初期だからあまり無理はするなとみんなが過保護なくらいに何もさせてくれないけど、私本人はいたって元気で、本当に妊婦なのかと言うくらいに悪阻もない。


ただ、お腹が本当に僅かだけど膨らんで来ていて、愛おしい。(知らない人が見ればただ食べ過ぎてぽこっとした感じ)


前に信長様が戻られた時は何の変化も無かったから、今回は驚くかも。


ふふっと、そんな信長様の顔を想像しながら歩いていると、向こうから佐助君が歩いて来た。


「やぁ、アヤさん」


「っ、佐助君、すごく普通に歩いて来たね」

上杉謙信を上司に持つ彼にとって、この安土城下はいわゆる敵地で.........

だからこそ、私に会う時はこっそりと部屋の屋根裏から忍び込んでたんだけど、今日は彼にしてはかなり普通な登場だ。


「いや、どうしても君に伝えたい事があって」

いつも通り、表情はあまり読めないけど、でも何かに焦っているような感じの佐助君。


「どうしたの?もしかして、またワームホールが出現するとか?」

そんな事になったらどうしよう。あの頃と違って今はお腹に子供もいるのに。また記憶喪失になったりしたらそれこそ大変だ。


「落ち着いて、アヤさん。ワームホールの事じゃないよ」

あわあわと、一人妄想で焦る私を見て、佐助君はすこし表情を緩めた。


「あっ、そうなの?よかったぁ〜」

「驚かせてごめん」

「私こそ、早とちりしちゃって......でも、じゃあどうしたの?」


ワームホール以外で佐助君が急ぐ事って、今は越後勢との戦も休戦中な筈だし......



目の前の佐助君は中々本題に入ろうとしない。
きっとかなりな内容に違いない。


急かしてはいけないと思い、佐助君が話してくれるのを待った。

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