第7章 告白
「信長様、入ります。」
そーっと、機嫌を確認するように部屋に入る。
信長様はまた、外を見ながらお酒を飲んでいた。
横に座って徳利を手に取りお酌をする。
「仔犬、ありがとうございました。ふわふわで可愛くて、そのまま一緒に寝てしまいました。」
「貴様はよく寝るな。」
くっとお酒を飲む。
「信長様は、全然寝ないですね」
「幼き頃より、親兄弟に命を狙われて来たからな。今も俺の命を狙う輩は沢山おる。いつ寝首を掻かれるか分からんからな。」
親兄弟に命を狙われて来たなんて。日本史で習った通りなんだ。親兄弟で助け合えないなんて。それはとても辛い事だ。
信長様が少しでも安心して眠れるようにしてあげたい。
「私は寝首なんて掻きませんよ。だから、安心して寝て下さいね」
「ふんっ、貴様は甘っちょろくて温かいからな。そんな事より、先ずは先ほどの礼を貰おうか」
盃を置き、私から徳利を取って膳に置くと、私の腰に手を回して抱き寄せられた。
「あっ、」
優しく腕の中に閉じ込められる。
「貴様から口づけよ。礼はそれで良い」
もうすでに唇が触れそうな距離で囁かれる。
「........っ、あのっ......」
恥ずかしくて、信長様の胸を押してしまう。
その手をやんわりと掴まれ、チュッと手の甲にキスをされた。
キュッと肩が窄まる。
吐息がかかるだけで目眩がしそう。
「早くせぬと、その身が持たんぞ」
掴んだ私の手の指をペロッと舐めて、甘噛みをした。
「んっ.........」
クラクラする。こんなの、正常でいられない。
観念した私は、震えるもう片方の手を信長様の頬に添え、目を閉じて、掠める程度のキスをした。
「貴様の礼はこの程度か」
「うぅーっ....イジワル」
これが精一杯なのに。
「ふんっ、貴様は本当に手がかかる」
「んっ.......」
ドクンと心臓が高鳴るのと同時に唇も重なる。
「この俺を焦らすのは貴様位だ」
「はっ....んっ..ん」
どういう意味?
少し強引だけど、溶かされる様な信長様のキス。
体を重ねる事よりも、口づけの方が気持ちが分かる気がする。言葉も、態度も俺様だけど、唇から伝わる温度が、私を好きだと伝えてくれる。
少しの息苦しさを感じたとき、唇が離れ、そのまま褥へと横たわらせられた。