第56章 恋の指南
真っ赤な顔で涙を流しながら、出来ないと言っていたアヤは、やっと覚悟を決めたかの様に、身体を起こして俺の胸に手をついた。
愛おしいアヤ。
どんな手管よりも、俺の身体を疼かせるのはアヤだけだと言うのに。貴様はそれを分かろうとしない。
かるちゃーすくーるでの事は冗談半分で、口づけだけで軽く許してやろうと思ったが、貴様が浮気をするなどと口走るゆえ、それに関しては仕置きをしてやらねばならなくなった。
貴様が他の男に触れられると考えるだけでも気が狂いそうになるこの気持ちを、どう貴様に教え込めばいいのか。
いっその事、本当に手足に枷をはめて、天主に閉じ込め、俺だけを見て、感じさせ、過ごさせようか。
俺の上で、顔を赤らめ腰を動かすアヤ。
裸体が綺麗に闇夜に浮かび上がり、それだけでも俺を十分に翻弄する。
本人に教えれば、たちまちに顔を赤らめその綺麗な裸体を隠してしまうだろうから、絶対に教えはせぬが。愛おしすぎて、目が離せない。
ピンと立ち上がった両胸の先を指で摘んでやれば、たちまちに声をあげて俺を締め付ける。
アヤの締め付けに顔を歪めると、
「っ、気持ち、いいですか?」
アヤが初めてそんな事を聞いてきた。
「っ...、そうだな。貴様を沢山感じておる」
大胆なことを聞いた自覚はあるのだろう。首まで赤くなってはいたが、俺の返事にアヤははにかみながらも、顔を綻ばせた。
過去に、数多の女を抱いた事がそんなに気に障ったのか、健気に床上手を目指そうとする、とぼけた女に俺が溺れ切っているとは考えんのだろう。
「アヤ」
アヤと繋がったまま身体を起こして、強く抱きしめる。
「っ、信長様」
「貴様の手管はよく分かった。この手管が通用するのは俺だけだ。浮気は諦めて、俺だけにしておけ」
「っ、は、はい」
「ふっ、聞き分けがいいな」
もう、一杯一杯と言った感じか。
触れたくて堪らない柔らかな唇にかぶりつく。