第7章 告白
信長様に、散々啼かされた次の日、目が覚めるとすでに昼餉の時間も終わっていた。(信長様はもちろんいない)
かなりな気怠るさと、身体中に刻まれた痕を見て、言葉では例えられない位、甘くてくすぐったい感覚が身体中に広がった。
初めて、信長様の温度をこの肌に感じた気がする。
昨夜の様々なシーンが甦り、一人で赤くなって再度布団に潜り込む。こんなにも自分の気持ちが変わるなんて、我ながら図々しくてびっくりする。
「アヤ、いつまで寝ておる」
布団を捲られると同時に信長様の声がした。
「わっ、信長様っ」
昨夜の事なんて何も無かったかの様に涼しい顔をして私を見る信長様。
「にぎり飯を持ってきた。起きて食え」
ポンっとおにぎりを投げ渡される。
「あっ、ありがとうございます」
「礼には及ばん。貴様は痩せすぎゆえ、抱きづらい。少しは太れ」
「...............」
(もう、そう言う恥ずかしい事を平気で言わないでほしい)
赤くなりながら、もぐもぐと、渡されたおにぎりを食べる。
信長様は椅子に腰掛けて、書簡に目を通し始めた。
たった一夜にして、信長様がかっこ良く見えて仕方がない。本当に私って勝手で図々しい。
書簡を見る目に揺れる長い睫毛、紙を持つ長い指、着くずした着物から見える逞しい腕と胸..........あの腕に昨夜......
また、昨夜の事が頭に浮かんでくる。ぶんぶんと頭を振って映像を頭から追い出そうとしていると、
「何をしておる、早く食って仕度をしろ」
怪訝そうにこっちを見られて喝を入れられた。
「はっ、はいっ」
慌てておにぎりを口の中に詰め込んで、仕度を済ませた。