第54章 除夜の鐘
ボーン、ボーンと除夜の鐘が鳴り出した。
私と信長様は天主から外を眺めてその音を聞いている。
「今年も一年終わりましたね」
「そうだな」
信長様にお酒を注ぎながら一年を思い出す。
まだ信長様の元に戻って数ヶ月だけど、その間に結婚して、こうして一年の終わりを一緒に迎えられた。幸せ。
「新年の準備も終わったし、......それにしてもみんな今日は凄かったですね」
「少し、はしゃぎ過ぎたな」
信長様も思い出した様に苦笑した。
本来なら、武将のみんなは、年末年始は自身の城へと戻り新年を迎えるのだが、今年は毛利の中国攻めがまだ続いており、春先にまた侵略を開始する為、その準備もあり、皆お城に残っていた。
だから、せめて新年は派手に迎えようと、政宗と秀吉さんが杵と臼を持ち出して、餅つきを始めた。
誰のついた餅が一番美味いか競争だと政宗が言い出し、それに乗っかる形で皆が餅つきを始めた。
中庭で繰り広げられるその光景に、城の女性全員が釘付けになった。
それもそのはず、盛り上がり暑くなってきた武将達は上半身を脱いで、その筋肉美を惜しげもなく披露している。
イケメンと筋肉の美の共演に目が離せない。
信長様も凄く引き締まって逞しいけど、皆んなも凄い鍛えてますって身体をしていて、恋仲じゃなくてもドキドキしてしまう。
「盛り上がっておるな」
背後から信長様の声がして振り返ると、ちゅっと唇を奪われた。
「なっ.......」
慌てて、赤くなっていると
「他の奴に目を奪われるな」
と、少しみんなの裸にドキドキした事をさとられた。
「ちっ、違います」
「ふんっ、貴様は信用ならん」
もう一度ちゅっと唇が触れると
「俺もやる」
信長様も上を脱いで、餅つきに参加した。