第53章 秀吉のぼやき ④
次の日、信長様に事実確認をすると、
「貴様が気にすると思い、急遽軍議を中止にした」
と、しれっと言われ、俺は暫く唖然とした。
けれど、
「良い面構えになったな」
と顔をペチペチとされ、俺も悪い気はしなかった。
こうして、俺は葵と恋仲になった。
俺の背中を押してくれた信長様には感謝だが、何となく利用された感が残ったのは気のせいだろうか........。
後日、廊下を歩いていると、やはりアヤと口づけの最中。
あと少し歩けば天主なのだから、そこまで我慢して欲しいところだ。
嫌味を言われると分かっていても、城の風紀を守る為、俺はわざと咳込んでお二人の邪魔をする。
だが今は、所構わず口付けたくなる気持ちが少し分かってしまった。
くそ〜葵に今すぐ会いたいっ!
とりあえず、安土城は今日も平和だ。