第6章 覚醒〜信長編〜
アヤが安土に来て、二カ月程経つ。
俺の命を助けた女
それだけで、興味を持つには十分だった。
どんな女も、俺の前ではひれ伏し全てを投げ出すと言うのに、アヤは震え怯えながらも、その中にある自尊心を決して曲げなかった。
言うことを聞かないじゃじゃ馬を、少しずつ手懐けて行くのも一興、と思っていたが、日に日に、アヤに触れていたいと思う時間が増えて行き、会わない時も、何をしているのかと気になるようになった。
この手に抱いても、抱いても、抱き足らない。
毎夜毎夜、アヤは睨みながらも、俺の手で啼かされる。
情事が済めば、胸の中で泣きわめく。
暫くすると、観念して腕の中で泣きながらも寝息をたて寝始める。
そんなアヤの寝顔を見て、今まで感じたことのない感情に支配されながらも、その感情が何なのか分からないままでいた。
ただ、アヤを支配したいだけだと思っていた時、
視察で城を留守にしている間に、アヤの周りに男の影がチラついた。
ただの呉服屋の居候とその仲間。
護衛に付けている者の報告では、アヤは本当に話をしているだけ。と言うものだったが、無性に腹が立った。