第47章 岐阜へ
またもや身体が怠重い三日目の朝。
一日中一緒とは、ずっと抱かれ続ける事だと、昨夜漸く気づいた。
馬での長距離移動をしながら、眠った私を支えて、夜は殆ど寝ずに私を抱き続けて、信長様の体力ってどうなってるんだろうか。
「信長様は、疲れたとか、眠いとか、辛いとかないんですか?」
「そう思った時は、戦いに敗れ死ぬ時だ」
何気なく聞いたのに、結構重い返事が返ってきた。
「じ、じゃあ私、とっくに死んでますね。いつも眠くて体も怠いし」
「ふっ、貴様は俺に守られておればいい。まぁもう少し体力は欲しいがな。昨夜も思うように抱けなかったからな」
私を抱える手が、イタズラに腿をさする。
「なっ、あんなに......」
しておいてまだ、する気だったって事⁈
いやいやいや、もう、本当にこれ以上は無理だから、ここはビシッと言っておかないと。
「ご満足頂けなくてすみませんが、これ以上は無理です。私の体力はここまでが限界です。たまには寝させて下さい」
どうだ、これで今夜は寝かせてあげたくなったでしょ?
「自分に限界を作るとは愚かな、貴様の伸びしろはまだある。今夜も覚悟しておけ」
ふふんっと鼻で笑って、信長様は馬を走らせた。
うわーん墓穴を掘った〜
大体伸びしろって何?
あれ以上、何をさせたいっていうの?
伸びしろ と言う言葉に完全に縛られた私は、岐阜城までの道のりをあれこれ悶々としながら進み、肝心の月華院様の事を聞くことを忘れてしまっていた。