第5章 覚醒
こんな優しくキスするなんてずるい。
とうとう気持ちの限界を迎えて、涙が止めどなく溢れてきた。
「何を泣いておる」
信長様が動きを止め、怪訝そうな顔で私を見下ろす。
「のっ、信長様はずるいっ........っく、嫌だって言っても、無理やりしたり、かっ、勝手に男の人との関係を....っく、疑って、酷いことしたり......っ、今みたいに急に優しくなったり......っく、ぜっ全然....わか..んない....私を....っく、何だとおもっ...でるんですか......っ」
ぐちゃぐちゃだ。
よりによって、こんな子供みたいに泣きじゃくりながら、聞きたかった訳じゃないのに。
「アヤ、貴様はとんだ阿呆だな」
呆れた様に信長様が囁く。
「ヒドイっ、っく....信長様なんて..........っ」
胸元を叩こうとして、手を振り上げたけど、簡単に信長様に掴まれて、褥に押さえつけられた。
「貴様は、俺の物だと言う意味が分からんのか」
真剣な眼差しで、見つめられたけど、
「分かり...... ません。私は.....物じゃな.......んんっ」
全てを言い終わる前に口を塞がれたけど、信長様の唇から伝わる体温に、心が落ち着きを取り戻して行くのが分かる。
「はっ......んっ........んっ」
ゆっくりと転がす舌先に翻弄され、呼吸が奪われて行く。体から次第に力が抜けていき、信長様が唇を離した。
「アヤ、言っても分からんなら、貴様の体で教えてやる」