第46章 二人の時間
「じゃあ行ってきます」
旅支度をした私と信長様は、秀吉さんに門の所でお見送りをしてもらっている。
「アヤ、楽しんでこいよ」
「うん。秀吉さんありがとう」
「信長様も、道中お気をつけて」
「ああ、秀吉、留守を頼んだ」
「はっ」、と秀吉さんが軽く頭を下げる。
あの夜、やっと心も体も繋がりあえた私達は、私が毛利に攫われた後からワームホールに飲み込まれるまでの話をした。
元就と私の誤解は解けたけど、色々とされた事には変わりないと信長様は不快感をあらわにし、夜が明ける頃まで何度も私を抱いた。
そして、お昼過ぎに目を覚ました私に、お互い離れていた一年を共有する旅に出ようと信長様は言ってくれ、そこから4日、仕事をキリのいいところまで終わらせた信長様と、今日から5日間程の旅に行く事になった。
「アヤ」
愛馬に乗り跨った信長様が、私の名を呼び手を伸ばす。
その手を掴むとぐっと馬上に上げられ信長様の前に乗せられた。
「分かっておると思うが、よそ見をして落ちるなよ」
片手で私をしっかりと抱きしめ、信長様が楽しそうに私の顔を覗き込んだ。
「信長様が意地悪をしなければ落ちません」
逞しい胸に腕を巻きつけて、信長様を見上げた。
目と目が合えば、ちゅっと軽いキス。
「あー、コホンっ!道中、くれぐれも人前でそのような事はお控え下さいますよう」
すっかり存在を忘れられた秀吉さんが、私達にクギを刺す。
クスッと、私たちはおデコを寄せて笑いながら、お城を出発した。