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恋に落ちて 〜織田信長〜

第44章 自分の未来へ



『アヤ』

『アヤ、起きよ』

ん?

『アヤ、朝だ。起きよ』

誰?

『 様、まだ寝てたいので寝させて下さい』

『だめだ、起きよ。皆が広間で待っておるぞ』

『うー眠いよー』

私を起こすのは、誰?

『起きぬなら、起こすまでだ』

『えっ、んっーーーー苦しい、 様』

私にキスするのは誰?

『早く起きて支度をしろ、置いていくぞ』

『あっ、待ってください!』



「待って............あっ........」

眼が覚めると、いつもの自分の部屋。

「.....また、この夢だ」

時々見るこの夢、私はどうやらこの夢の人物に恋をしているらしい。しかも様付でその人の名前を呼んでいる。

でも、その人の名前も顔も、眼が覚めるとともに消えるように忘れて思い出せなくなってしまう。

「長い事彼氏がいないから、ついに妄想彼氏でも作り出しちゃったかな」

一人苦笑していると、

トントン
「アヤ、起きたの?」

ドアがノックされ、母がドアを開けて入ってきた。

「珍しい、もう起きてるなんて」

母は微笑みながら、部屋のカーテンを開けた。

「旅行、楽しみだからかな」

「えー?子供じゃないんだから、寝られなかったって事?」

クスクスと笑いながらも、母はベッドで半身を起こした私の横に座って、私の両手を握った。


「.........アヤ」

「何?」

「大丈夫?」

「....何が?」

「だって今日......」

そこまで言って母は言葉を止めた。

「大丈夫だよ。もうあれから一年だもん。お母さんに言われる今の今まで忘れてた位」

不安そうな母の手を強く握り返して笑顔を作る。

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