第42章 それぞれの思い
ふわふわと身体が揺れる。
雲の上ってこんな感じ?
でも、時々荒々しく揺さぶられる。
それに、波の音?
あぁ、雲じゃなくて、船の中だ。
以前、ディナークルーズに乗った時もこんな感じだった気がする。
でも、このまま横になってると酔いそうだな。
もう既に頭が痛いし.......
って、何で私船で揺れてるんだっけ?
あぁ、夢?
でも、頭痛い。これも夢?
........違う、
私.....攫われたんだ!
自分の置かれた状況のヤバさに目が覚めて、慌てて体を起こした。
「っ.....」
見たことのない部屋。
しかも鼻をかすめる潮の香りに僅かな揺れ。
考えに集中したいけど、
「いっ.....た...」
頭ががんがんする。
しかも、首すじも痛い。
「あまり急に起きない方がいいぜ」
誰もいないと思ってた部屋の隅から、いきなり声がして、慌てて首を振りそっちを見た。
「っ、たたっ」
急な動きに身体が悲鳴をあげるかのように痛んだ。
「だから言ったろ?急に動くなって」
「もっ、元就さん⁉︎」
「元就でいいっつったろ」
浅黒い肌に片耳にピアスの男、毛利元就が不敵な笑みを浮かべながら、ギシっと私の横に腰を下ろした。