第41章 思惑 〜元就編〜
信長達同様に、毛利元就も越前への路を馬を飛ばし急いでいた。
だが、信長ほどの速度を出して走ることはできない。
なぜなら、元就の腕の中には先程三ツ者から受け取った大切なものがあるから。
「アヤ」
前回同様に、アヤは薬で眠らされている。
信長が簡単に罠にはまるとは思っていない。
だからこそ、思惑に気づき先を越される前に、越前から船で脱出をしたい元就にも時間はなく、アヤを大八車や輿などで運ぶ余裕はない為、馬に乗せ先を急ぐ。
意識のないアヤを、馬に跨る自身の前に向かい合わせに乗せ、アヤの手を自分の胴回りに巻きつけ後ろでその両手首を縛り、落ちない様に固定をしてある。
その為、アヤに抱きしめられている様な形となり、元就の体は自然と熱を持つ。