第4章 佐助登場
言葉が出てこない。
恨む事ばかりを考えてきたから、そんなに上手く考えを切り替えられない。
「後は、本人に聞いてみれば?まぁ、相手はあの織田信長だから、一筋縄ではいかないと思うけど、俺の主君もかなりの変り者だから、お互い苦労するね」
肩をすくめて佐助君が笑った。
「ありがとう。佐助君」
佐助君に会えてよかった。
胸の内でもやもやしてした霧が少しずつ晴れて行くのが分かる。
「俺はまた、ワームホールが現れる二カ月後にここに来るから、アヤさんがもしその時も帰りたいなら、必ず未来に戻してあげる。それまでよく考えて、戦国ライフを楽しんで」
そう言って佐助君は、天井から帰っていった。
「戦国ライフを楽しむ...か。佐助君って本当に凄いな。」
穿った見方をして、私は色々なことから逃げてたのかもしれない。
信長様とも、会ってちゃんと話をしたい。
信長様に早く帰ってきてほしいと初めて思った途端、心がソワソワして落ち着かなくなってきた。
私がこの気持ちが何なのかに気がつくのは、もう少し後の事。
自分の中に眠る大きな感情はまだ、息を潜めていた。