第39章 幸と信玄
信長様と朝餉を済ませて広間を出た。
「今日は城下へ仕立物を届けに行ってきます」
「そうか、気をつけて行ってこい。くれぐれも怪しい場所や人物には気をつけろ」
毎度のことながら、心配そうな信長様の顔。
「ふふっ、子供じゃないんですから」
そんな心配をしてくれることも嬉しくて、腕を巻きつける様に抱きついた。
「子供であった方がまだ安全だ」
少し困った様に笑いながら、信長様は私の横髪を指で梳き、顎を掬い上げて口づけた。
「んっ」
軽く口内を探ると、ちゅっと離された。
「夕餉で会おう」
今度は軽くデコにキスを落とし、信長様は秀吉さんの待つ方へと歩いて行った。
「ほんとに大好き」
去って行く信長様の背中を見つめながら、熱を与えられた唇に触れ、小さく呟いた。