第30章 三度目
三度目の外出禁止令が出てしまった。
しかも今回の取り下げ条件は、信長様に一太刀浴びせる事。(怖いし、怪我するといけないから刀とかは使わないよ)
そう、信長様から一本取れなければ、いつまでたっても外出禁止のままという事だ。
「私が信長様に勝てるわけありません!」
私の知る限り、一番強い信長様に私が勝てるわけない。
他の武将達にだって勝てないのに。
なのに、
「やってみなければ分からんだろう」
信長様はしれっと簡単に言う。
やらなくてもわかるもん。勝てるわけないもん。
私が勝てるわけない事分かって絶対言ってる!
「どうした、やるのかやらんのかはっきりしろ。城の外に出たいのであれば、俺に勝つしかない。それで無くとも貴様は隙だらけで危なっかしい。これを機に、少しは武術を磨くんだな」
そりゃあ、私が隙だらけで弱い事はよく分かってるし、この間は信長様以外の人にあんな事されて本当に嫌だったから、もう少しは強くなりたいとは思うけど、でも、いきなり信長様に勝てはひどいと思う。
「信長様のイジワル」
何だか納得ができなくて、恨めしい気持ちで信長様を睨む。
でも、信長様はいつも通り涼しい顔をしている。
「信長様なんて嫌い」
「ふんっ、嫌いで構わん」
もう、この言葉は言い過ぎていて、信長様は慣れてしまっているみたい。
「早くどうするのかを決めろ」
口調を少しだけ強めて私を抱き寄せる。
悔しいけど、信長様の腕の中は心地良くて、怒る気が失せてしまう。
「あの、手加減してくれますか?」
私女の子だし......
「貴様は阿保か、俺は生まれてこの方手加減をした事はない」
「ですよね........」
やっぱりだめだよね。
落ち込んでいると、髪に口づけられた。
交渉中に不謹慎だけど、もっと触れて欲しい。
信長様といると、怒ったりドキドキしたりと本当に心が忙しい。