第28章 団子より花
「アヤ」
私に覆い被さると、信長様の熱が、私の敏感になっている場所にあたっているのが分かった。
「はぁ、信長様.......っ」
「どんな貴様も綺麗だ。ずっと愛でて、味わっていたいほどに、俺は貴様に溺れておる。もう誰にも触れさせるな」
掠れた声で急に愛を囁かれ、恥ずかしさと嬉しさで声にならず、ウンウンと頷きながら、信長様の首に腕を巻きつけて、入ってくる熱を受け入れた。
白昼の情事は、触れ合えなかった時間を埋め合う私たちを隠すことなく晒したけど、信長様の流れ落ちる汗や、時折目を瞑って苦悶の表情を浮かべる信長様がとても綺麗で、本当に恥ずかしかったけど、たまにならいいかなと思ってしまった。
元就に付けられた痕は、その上に信長様がさらに大きな痕を付けたことで怒りを収めたが、私は暫く髪を結い上げることができなくなった。
元就から受け取った文の事も、その後信長様に見せて、椿に渡す事の許可も得た。
買って来た甘味でお茶をする時間は、お昼の情事の時間へと変わってしまった為、信長様は包みから一つ栗饅頭を手に取ると、「美味いな」と言いながら、それを食べながら走って軍議へと戻っていった。
天主に残った私は、秋色に染まって行く城下の景色を見ながら、一人ティータイムを楽しみ、中々冷めない体の火照りを冷ました。