第27章 優しい嘘
その後軍議は一旦終了し、私達は二人で中庭を歩いた。
「信長様、今回の事、本当にありがとうございました」
向かい合わせに両手を繋いで、信長様にお礼を言った。
「ふんっ、貴様に礼を言われる覚えはないが、そんなにしたいなら、今夜腕の中で聞いてやる」
冗談っぽく言いながら、抱きしめくれる信長様。
「でも、100人が助けて欲しいと言ってきたら、やっぱり私は助けようとすると思います。その時はまた、信長様を困らせるかもしれません。それでも、信長様のお側にいていいですか?」
戦が無くなる日まで、きっと私達のこのやり取りは続くのだろう。
「かまわん。俺は何があっても貴様を手放さんだけだ」
「信長様......」
涙腺は昨日からずっと緩みっぱなしで止まらない。
私の好きになった人は、とても強くて大きくて深い。
「ふっ、貴様は泣きすぎだ」
両頬を包み、溢れる涙を指で拭ってくれ、優しく口づけてくれる。
「んっ、」
私の下唇をペロリと舐め、舌を口内に侵入させ私の舌を絡め取って行く。優しい、優しい、私の大好きな信長様の口づけ。
「そろそろうるさい奴が呼びに来る。続きは今夜だ。それまでにその涙は止めておけ」
イタズラな笑顔でチュっと、もう一度軽くキスをして、秀吉さんが呼びに来る前に、待っている方へ信長様は歩いて行ってしまった。
「好き.........大好き..........本当に好き...........ずっと好き........ 誰よりも好き...........世界一好き..............宇宙一好き...........とにかく好き................」
信長様の背中をずっと見送りながら、私は何度も何度も「好き」と呟いた。