第24章 痕付けの代償
「えっと、確かこの紐を結んで、ここに通したら出来上がり.......じゃないかも?」
あれっ?と、想像した出来上がりとは違い頭を傾げる。
「貴様、俺を戦場で討ち死にさせる気か」
怪訝そうな顔で信長様が私を見る。
そう、私は今、戦へと旅立つ信長様の甲冑を着付けるお手伝いをしている所。
ちゃんとできたと思ったけど、上の方で締めすぎていたり、左右チグハグだったり、なんかおかしい。
「あれっ?おかしいな。なんでこうなったんだろう」
必死で、原因となる箇所を探すけど全然分からない。
「秀吉、貴様斬られたいのか」
隣で笑いをこらえている秀吉さんに信長様が苛立ちをぶつける。
「いえっ、すみません信長様。アヤ、後は俺が代わる」
見兼ねた秀吉さんが私と代わろうと信長様の甲冑に手を掛けた。
「いや、いい。アヤにやらせろ」
手で秀吉さんを制して、私に続ける様に促す。
「信長様、でも、ちゃんと装着できてなかったら」
不安になった私は秀吉さんに助けを求める様に目を向ける。
「甲冑など、あってもなくても構わん。貴様が必死で着付けてくれたと思えば、会えない日々もまた一興となる」
「信長様」
感動して益々手が震えた。
「秀吉さん、教えて下さい。どこが間違ってるか」
その後、秀吉さんのアドバイスの下、何とか信長様の甲冑を付け終わった。