第22章 帰路
「信長様、もう、ふやけちゃいます」
与えられる熱と温泉の温かさの中で、意識は既に蕩けそうで、
「ふっ、良く顔を見せろ」
腕をといて私を向き合わせに座らせる。
「そんな蕩けそうな顔をするな。手加減できなくなる」
ぱちゃんと音を立てて湯面が揺れた。
「んっ」
唇が重なり、激しく奪われる。
「っ、はっ......うんっ」
口内を強引に開いて入ってきた舌に舌を絡めとられ、呼吸も奪われていく。
体の力がだんだんと抜けた時、信長様の手が私の秘部を触って軽く指を入れた。
「んっ、やっ」
お湯の中でも、自分のそこが濡れているのが分かる。
「貴様の体は素直だなアヤ」
唇を離して信長様がニヤリと笑った。
「っ、いじわる」
「挿れるぞ、のぼせぬ様空気をしっかり吸い込め」
お尻を持たれ、ズズッと沈める様に挿入された。
「あっ、んっ」
挿れられただけでキュッと体がなり、信長様に縋るように、その首に手を巻き付けた。
「っ、アヤ」
信長様の綺麗な顔が一瞬切なげに歪んだ。私だけに見せてくれるその表情に愛おしさがこみ上げる。
「大好き」
皺の寄った信長様の眉間に口づけをした。
「アヤ、愛している。貴様が無事で良かった」
掠れた声で囁かれ、私達は再び唇を重ね合わせた。
お湯の中では、信長様が腰を突き上げる。
「はっ......んっ、んっ」
松明の灯りと月明かりに照らされた湯面は、私達の声に混ざってチャプンチャプンと音を立てて揺れる。
やがて揺れは、波へと変わり、荒波へと変わった頃、私達は再び唇を合わせ、快楽の波へと一緒に飲み込まれた。
その後、着替えを済ませて村へ戻った時には散々みんなにからかわれたけど、信長様が繋いでくれた手が優しくて温かくて、今日一日の疲れがぜんぶ吹き飛んでいった。
被害を受けた村々は、その後救援部隊と共に目覚ましい復興を遂げ、領主である信長様への信頼は強固なものとなった。
また、私と信長様が愛し合ったこの温泉は、後に、さる高貴な方が愛を交わし合ったとか、殿様と姫が逢瀬を楽しんだとか、様々な噂となって広がり、縁結びの湯として恋人達の間では話題の温泉スポットになったという。