第21章 於市
「アヤ、明日から休みを取った。旅支度をしておけ」
昼食を終え針子部屋へ帰る途中、信長様に呼び止められ伝えられた。
「旅支度って、私もですか?信長様と?」
「そうだ。貴様と俺の二人だ」
「一体、どこへ?」
「それは、追々話してやる」
チュっと、軽く口づけられて、信長様は行ってしまった。
あまりの早技にしばらくぼーっとしてしまったけど、よく考えたらここに来て城下の外に行くのは初めてで、
「旅支度って事は、お泊り旅行って事?わぁ、どうしよう」
嬉しくてそわそわしてきた。
ずっと一緒に一日中いられるなんて、嬉しすぎる。
わくわくした気持ちを抑えきれず、私はその日の針子仕事を早々に終わらせて、旅支度を楽しんだ。