第19章 金平糖の罰
「貴様は当分外出禁止だ。仕立てた物は他の者に届けさせよ。金平糖の購入もだ」
私を腕の中に閉じ込めながら、信長様が厳しい声で伝える。
「はい。分かりました」
明日は織田軍の皆に謝って、お礼を言わなければ。
「でも、交換条件の、船を通す件はどうにもならないですよね。迷惑をかけてしまって、ごめんなさい」
人質を取って、単身で乗り込んでくるくらいの事だから、きっと大変な物を運ぶに違いない。私のせいで.......。
「いや、あくまでも通ることができたらの話だ」
ニヤッと信長様が笑う。
「えっ?」
「俺は、明日港を通る船は見過ごすと言ったまでだ。今頃光秀が手を打っておる」
それはつまり、明日一日、港には入れないように周辺の航路を閉鎖するってこと?
「悔しがる彼奴の顔が見られんのは残念だ」
さも愉快そうに笑う信長様に改めて見惚れてしまう。やっぱり信長様ってすごい人だ。
「信長様はすごいですね。やっぱりかっこいい」
信長様の胸にキスをするように顔を埋めた。
「貴様を、危険な目にあわせた仕返しだ」
顎を持ち上げられ、優しく微笑みながら口づけられる。
誰よりも強くて、かっこよくて、時々意地悪だけど、温かい、私の大好きな人。心配をかけてごめんなさい。助けてくれて、ありがとう。また抱きしめてくれてありがとう。あなたの腕の中に戻ってこれて、本当に良かった。