第2章 棘
「見せてみよ」
私の足を掴み上げ、巻いた布を解いた。
「阿呆が、やはり膿んでおる」
「えっ?」
「棘は、甘くみると膿んでしまうことがある。場合によっては足を切り落とさねばならん。貴様にこの事を言っても大人しくはせんと分かっていたから。着物を奪い取って大人しくさせようとしたのだが」
(そうだったの?私はてっきり意地悪をされたものだとばかり)
「まさか、俺の着物を着て逃げ出すとは」
クククッと、さも可笑しそうに私の足を見ながら信長様が笑った。
「ごめん、なさい」
「膿を吸い取るゆえ、少しがまんせよ」
そう言うと、私の傷口をキツく吸い、膿をペッと、紙に吐き出し、清潔な布を巻いてくれた。
武士にとって足や手は大切な物、そこを怪我することは死活問題なのかもしれない。だから信長様はあんなにも怒ったのかもしれないと、ふと思った。
「ありがとうございます」
なんだか今日は信長様が優しくて調子が狂う。
今朝のように、冷徹な姿が本来の信長様で、突然こんな優しさを見せられても、心が追いつかないよ。
「ふっ、礼はその体でもらおうか」
ペロっと、意地悪な笑みを浮かべて私の足を舐めた。
「っ.........」
「今朝の続きからでよい」
そう言って、私の裾を割り太ももに手を滑らせ、舌を這わせる。