第19章 金平糖の罰
「んんんんんんっ、んんんんっ」(訳:信長様っ、どうしてっ)
猿ぐつわをされていた事を忘れて必死で叫ぶ。
「ふっ、秀吉、取ってやれ」
笑いながら信長様が言うと、
「悪かったなアヤ」
仮面の男の一人が仮面を取り、謝りながら猿ぐつわを解いてくれた。
「ひっ、秀吉さん?」
私が目を見開いてビックリしていると、
「もう一人は俺だ、脅してすまなかったな」
もう一人の仮面の男性は光秀さんで、愉快そうに笑っている。
「光秀さんまで.......」
よく見回すと、私はいつのまにか天主に運ばれている。
どう言う事?
「狐につままれた様な顔だな」
何が何だか分からず、言葉も出ない私の側に信長様が来る。
「信長様」
やっと会えた大好きな人を感動の目で見つめる。
「アヤ、この、大バカ者!」
信長様は、大声と共に私の頬をぐにっとつねってきた。
(へっ?)
「貴様の軽はずみな行為で、皆が巻き込まれた、反省せよ」
頬のつねりは、全然力なんか入ってなくて、全然痛くない。けど....
「私.....あの、ごめん..なさい」
自分のした事の重大さに今やっと気が付いた。
「簡単に助け出されては、貴様は反省せん。だから、秀吉達に犯人のふりをして連れて来てもらった。本当に手のかかる奴だ」
信長様は頬から手を離し、私の事をきつく抱きしめた。
胸板から温かい信長様の体温を感じて、漸く戻ってこられた実感が湧き、涙が溢れ出した。